HOME > 起業のすゝめ記事一覧 > こだわりが「強み」を生み、謙虚さが「人」を呼ぶ!

 刺身居酒屋のはしりといえる「魚真・下北沢店」を1983年に開店したのを皮切りに、都内8店舗に“魚”にこだわった姉妹店を展開する加世井氏。築地の荷受会社勤務、家業である魚屋経営と魚一筋の経歴を持つ加世井氏から、個性ある飲食店づくりのポイントや心構えをうかがってみました。
第 2 回
魚屋だからできることは何か?


 1983 年(昭和 58 年)に、美味しい魚を安く食べさせる「魚真」の本店を下北沢にオープンしました。場所こそ今の店と同じですが、規模は 13 坪で半分ほどの大きさでした。魚屋を継いでから、あまり年月が経っていなかったので、企業資金はやはり銀行から借り入れましたよ。開店と同時に会社にもしましたから。当時も、なかなか銀行から借りられなかったですが、僕の場合は、たまたま実家に戻っていたので、担保があったわけです。今も簡単には貸してもらえないでしょうが、いろいろな新しいシステムが銀行ごとにできているようですから、それを調べて活用すべきです。うまくすれば、若くても 200 ~ 300 万円の資金で、 2000 万円くらいの物件をやれるはずですからね。これから起業するには、そういう下調べも必要だと思います。

  モダンなカウンターに
桶を持った人が並んでいた

 物件については、僕は下北沢に限定して探したんですけど、随分迷いましたね。今は飲食店が並ぶような場所になりましたが、当時は、町外れのような立地。すぐそばに銭湯があって、店の前を右から左に行く人は駅から家へ帰る人、反対は風呂へ行く人。それ以外の人はあまり通らなかったですね。桶を持ったお客さんが多かったですよ。昔の店構えは、設計デザイナーがちょっとモダンな人で、カフェバーや寿司屋にあるようなハイカウンターでしたが、そこに桶を持った人が並んでいるという不思議な光景でしたね。寿司屋やコーヒー屋に間違えられたこともあるくらいモダンな感じで、「ポアソン魚真」という名前でした。フランス語で魚(料理)という意味で、文字にすると「 POISSON 」になるんですが、見た目が POISON (毒)になってしまう。さすがに、「毒・魚真」ではマズイので変更しました。

”魚屋のイメージ”の
演出が随所に
  飲食店らしくするよりは、魚屋のイメージを残したかったので、カウンターに魚のネタケースを置きました。今でこそ、いろいろな居酒屋にネタケースがありますが、当時は寿司屋位しか置いてなかったでしょう。それに、刺身や生ものを食べようと思うと、寿司屋か割烹しかなかったですから、おそらく、新鮮な刺身を食べさせる居酒屋のはしりになるのではないかと思います。魚屋の自分がやるからというだけの理由で置いたんですが、別の角度から考えると、それが新しい業態になったのかもしれません。まあ、新しいからこそ馴染みがなくて、開店当初は、ほとんどお客さんが入らないという状態に陥ってしまうわけですがね…。


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加世井 眞次

1949 年東京生まれ。築地の仲買企業に魚を卸す荷受会社に就職、家業の魚屋を継いだ後、 1983 年に刺身居酒屋「魚真」を東京・世田谷に開店。魚一筋 30 余年の経歴から、魚に絶対的な自信を持つ姉妹店を都内に 8 店舗構えている。

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