
『 RISTORANTE “ Al Porto “ (リストランテ アルポルト) 』。イタリア語で 「 港にて 」 を意味するこの店名には、オーナーシェフである片岡護シェフの気持ちが込められている。そう、港は、出港の場であり、帰港の場である。人生の出発を祝う時に、そして疲れた羽を休ませる時に立寄って頂けるお店でありたいとの願いが込められている。
片岡護シェフは、当初から料理人を目指していたわけではなかった。都立田園調布高校時代に美術部に所属し、大学も美術大学を志望するも残念ながら不合格であった。失意の中、母親の仕事関係で付合いのあった外交官がイタリア総領事として赴任することになりコックとして帯同を勧められたのが料理人の世界に入るきっかけであった。
帯同までの3ヶ月間、東京・築地の日本料理店 「 つきぢ田村 」 で修行をした後にイタリア・ミラノに渡った。
イタリアにコックとして渡ることになってから、片岡シェフは本場のイタリア料理を勉強し、帰国後には美味しいパスタの店を開店したいと考えていた。
しかし、ミラノの日本総領事館で作ることになった料理は、日本料理が中心であった。その中で、良い食材の買い方、日本とイタリアの食文化の違い、ヘルシーを意識したイタリア料理といった料理に関することからヨーロッパ文化の常識や接客マナーなど多くのことを学んだ。また忙しい仕事の合間に時間を作っては足繁くレストランに通いイタリア料理の勉強に勤しんだ。 5年間のミラノの日本総領事館での修行終え帰国した。帰国後は 「 小川軒 」 での修行、そして 「 マリーエ 」 を経て、1983年、西麻布に 「 アルポルト 」 をオープンした。
「 アルポルト 」 を始めるにあたって、片岡シェフは本場イタリアの料理をそのまま日本で再現するのではなく、日本人の嗜好に合わせた店作りを行った。
その一つが当時マスコミでも評判になった 「 懐石風小皿料理 」 である。イタリア料理の醍醐味は、一つの物をバーンとダイナミックに食べるところにあるが、色々な料理を小皿に取り分けて食べることで料理を楽しめ、日本人の嗜好に合致していると考え作り出されたものなのである。
また、和の素材を多くイタリア料理に取り入れてもいる。それは、日本の食材はヨーロッパには無い良さがたくさんあるとの考えからであり、野菜を中心に季節ごとに美味しい食材が色々あるからである。
その食材に関して、今非常に高騰している。オーナーシェフとしてどの様に対応されているのか、片岡シェフにお伺いした。
-
様々な食材の価格が高騰していますが、どの様に対応されていますか?
そうですね、確かに食材価格は上昇していますが、現在の環境を考えたら、これはやむを得ないかなと考えています。それじゃ値上げをすれば良いのかというと、そういうことではないと考えています。
まずは、今まで以上に無駄を無くすことについて考える必要があると考えています。例えば、食材のロスは無いのかとかシフト管理は適正であるのかということを見直すことですね。このように無駄をなくすことで食材価格の上昇分を補えるのではないかと考えています。
-
なるほど、無駄をなくす取り組みの他に何かございますか?
お客様に対して、新たな価値をご提供するということも考えております。付加価値を高める工夫も必要でしょうね。例えば、女性のお客様が多いお店では、“ 健康 ” “ アンチエイジング ” や “ デトックス ” と言った付加価値を持つ新しいメニューをご提案する等と言ったことですね。この様にそのお店、そのお店に合った付加価値の高いメニューをご提供できれば、仮に従来よりもメニューの価格を上げざるを得ないことになったとしても、お客様の支持は得られるのではないかと考えています。
この付加価値の提案は、メニューの見せ方によってもできますよね。美味しそうに見える食器を使ったり、美味しそうに見える盛り付け方を考えていったりと言うことです。言い換えれば、プレゼンテーションの仕方についてあらためて考える機会になるのではないでしょうか。
-
最後に、今後のお考えについてお聞かせください。
確かに経営環境は厳しくなっています。しかし、厳しい経営環境だからこそ、チャンスがあると考えてみたいと思います。本当の意味での競争が求めるようになったのではないでしょうか。当店でも一からやり直しと言う気持ちで取り組んで行きたいと考えています。
そして、先ほど申上げたように、工夫すべき点はまだまだたくさんあると思います。「 美味しかったよ。また来るよ 」 とお客様に言って頂けるように前向きに努力を重ねて行きたいと考えています。
※
インタビュー部分は、株式会社外食産業新聞社のインタビューを外食ドットビズが編集いたしました。
|