飲食店の営業リスクと具体例
飲食店を経営・営業するにあたっては様々なリスクが存在します。
最近では新聞紙上やテレビのみならず、日常会話の中でも様々な場面で「リスク」という言葉が使われています。リスクそのものが目に見えない漠然としたものであるため明確な定義づけはされてはいませんが、一般的にいわれている概念として「純粋リスク」と「投機的リスク」に分類されるといわれています。
「純粋リスク」とは、それが実際に発生したときに損害のみをもたらすリスクを指し、具体的には火災・爆発事故などによる財物の滅失、過失等による法律上の損害賠償責任などがこれにあたります。
一方、「投機的リスク」とは、損失の機会のみならず利得の機会もあるリスクを指し、景気の好不況、制度の改定などに起因するリスクがこれにあたります。あらかじめ予想されるリスクの処理または制御の方法としては、
- ( 1 )軽減(回避、分散、改善)
- ( 2 )転嫁(保険制度に加入)
- ( 3 )自己負担
の 3 つがあると考えられますが、火災等いつ発生するか予想しにくい純粋リスクを、( 1 )軽減、( 3 )自己負担により処理をすることは、一般的な飲食店にとっては非常に困難であり、毎年定額のコスト負担により予想できない巨大なリスクの対応が可能な保険制度によるリスクの転嫁が一般的であるといえます。
例えばお店が、火災、爆発事故で損害を被った場合以下のようなリスクが生じることが想定されます。
事故(リスク)の種類 |
リスクの対象 |
リスクに対応する保険 |
| 火災、爆発、落雷など |
建物、造作、什器備品など |
火災保険、動産総合保険など |
| 来店していたお客様の死傷 |
施設賠償責任保険 |
| 店舗休業中の逸失利益 |
店舗休業保険、利益保険 |
| 休業中の従業員への補償 |
店舗休業保険、利益保険 |
| 近隣の他の店舗に損害を与えた |
失火見舞い費用 |
飲食店が火災、爆発、落雷事故などで罹災を受けた場合でも、そこには様々なリスクが発生することとなり、逃げ遅れたお客様が死傷するリスクも想定され、 1 名あたり 1 億円の損害賠償責任が生じるケースもあり、とても自己負担できるような金額ではないことを理解いただけると思います。
万一このような事故が発生するとお店の存続自体に多大な影響を及ぼす可能性を持っています。また、罹災を受けたお店を再開するまでの期間の従業員(優れたシェフ)の人材確保も必要となり、そのためには休業補償を受ける必要も生じます。
また、飲食店の営業リスクは火災事故以外にも、「純粋リスク」として食中毒事故、施設の不備・欠陥による事故、オーナーシェフの病気による休業、従業員の労災事故など様々なものが想定されます。
ここでは「投機的リスク」については、触れておりませんでしたが「純粋リスク」に較べて保険によらず回避・分散・改善をすることには比較的容易であると考えます。例えば、取引業者との契約書については比較的にリスクの予想が容易であり事前に弁護士等に依頼をすることでリスクの軽減できるものであると考えます。
すでに日本も「水と安全はタダ」と言われていた時代は過ぎ去り、飲食店の営業においても「自らのリスクは自らの責任で管理する」という意識はますます必要となってきています。飲食店の経営者の皆様も営業活動が継続的な発展を維持するために高いリスク管理意識をもって経営をしていただきたいと思います。
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