
− 「 麦とホップ 」 が業務用商品になった経緯を教えてください。
【 吉田氏 】 外食業界が厳しいと言われ、客単価も下がってきているなかでも、発泡酒の樽詰製品は前年比を上回っているという背景がありました。低価格のビールテイストの樽詰に対するニーズは、おそらくあるのだろうと弊社では以前から判断していました。昨年3月から沖縄地区で 「 麦とホップ 」 樽詰の先行販売を行ったのですが、お店によってはビールよりも売れるケースもあるなど、予想以上の実績を上げることができました。樽詰販売に至った一番の理由を申し上げるならば、この経済環境下で、お店にもお客様にも喜ばれる商品として力を発揮できるのではないかと判断したからです。
−そもそも 「 麦とホップ 」 が誕生した背景というのは?
【 吉田氏 】 「 麦とホップ 」 が発売されるまでの新ジャンルの商品は、比較的すっきりしていてゴクゴクと飲める軽いタイプしかありませんでした。ビールメーカー側も “ そういうものが新ジャンルに望まれているのだろう ” と思い込んでいるフシもありました。ビールに似せてしまうよりは、のど越し すっきりと飲めるもの、カジュアルなテイストを期待していると思っていたのです。しかし、市場が拡大していくにつれ、そうでもなさそうだというのが徐々に分かってきました。やはり景気が影響しているのでしょうが、それまでビールを飲まれていた方が新ジャンルに移っていき、求められているものが変わってきたと考えています。すっきりだけではなく、本格的なのど越しなどいわゆるビールらしさというニーズが増えてきました。それを背景に開発してきたのが 「 麦とホップ 」 なのです。
− どのようなコンセプトで商品開発がスタートしたのですか?
【 吉田氏 】 サッポロビールのこだわりというのは、ひとつは原料であり、ひとつは製法にあります。「 麦とホップ 」 については、はじめから新ジャンルを作るというよりは、“ ビールとして一番安いもの ” を作ろうという考え方を持っていました。原料へのこだわりは、すべて協働契約栽培の麦芽、大麦、ホップしか使っていないということです。弊社の商品は、麦芽とホップは協働契約栽培100%ですが、大麦に関しては違うこともあります。しかし、「 麦とホップ 」 で使う大麦は、協働契約栽培100%にしました。製法に関しては、長期熟成製法を採用しています。簡単に言えば、ヱビスビールと同じ方法で、通常の発泡酒と比べて長い時間熟成させているのがこだわりです。サッポロビールが持っている原料と製法へのこだわりを注ぎ込んで開発した商品なのです。
− 開発過程で苦労した点、最も時間を割いた点はどこですか?
【 吉田氏 】 麦原料しか使っていないことで苦労がありました。ただ麦が多ければ良い商品が作れるという単純なものでもないのです。原料の配合にはバランスが大事なのです。麦が多いと、重たくて飲みにくいものになりがちで、爽快さのない味になってしまうのです。それを解決するために、長期熟成という手法を取っています。熟成期間を長くすることで、嫌な重たさを抜いて、まろやかさに変えていくのです。本格的なビールらしい味わいを出すことが課題であり、その解決としてヱビスビールのノウハウを使ったのです。
− 昨年8月に麦芽の量を増やすリニューアルが行われましたが、その理由というのは?業務用の樽詰販売に関係があるのでしょうか?
【 吉田氏 】 業務用だけを見据えたというわけではありません。業務用にしても家庭用にしても、“ ビールと間違えるほどのうまさ ” というのが製品コンセプトになりますから、それを強化するために何ができるだろうというなかで麦芽に注目したのです。お客様の立場からすれば、麦芽というのは 「 ビールの原料 」 として強いイメージがあります。その麦芽を増やしていくこと自体がコンセプトを強化することにつながると判断したのです。
|