接客は外食の基本的サービスにあらず
時代に則したサービスを究めていきます!
酒美
外食産業で IT が話題になると、“人間によるサービス”が基本にあり、それを機械やシステムに置き換えることに抵抗を持つ傾向があるように思います。しかし、何らかの形で人を助けていくという IT が果たすべき使命もあるのではないでしょうか。
湯澤 サービスを接客態度の問題と捉える人がいますが、私は違うと思います。弊社に来たアンケートを集計してみると、遅配・誤配がクレームの主な原因です。おそらくどこの外食店もそうだと思いますが、実は、お客様の立場からすれば、“遅配・誤配をされた”というだけのクレームは書きにくいのです。“遅配・誤配だけなら許すが、指摘した時の従業員の態度が悪かった”と書いてしまうことが多い。これを「従業員の態度が良ければ助かった」と読み違えてはいけません。遅配・誤配の時点でサービスとして失格だと気付かなければいけないのです。外食のサービスは、料理をきちんと届けることであって、接客態度はその次です。接客態度を優先して、自動化や合理化できないという価値観では、時代に付いていけない。銀行の ATM が好例で、最初に使ったときはわかりにくいシステムだと感じました。しかし、深夜であっても、コンビニでお金が下ろせるのは、すばらしいサービスです。銀行窓口で、笑顔とティッシュとともにお金を渡してもらうことは、もはやサービスと感じないでしょう。外食産業もそのようなサービスを目指すべきですが、すべての店舗が右にならえとなるのも大間違い。外食は、多様性が重要ですから、あらゆるサービス形態があるべきです。要は、従業員が楽に仕事できるような環境にしてあげることが大切だと私は思うのです。お客様に呼ばれてテーブルに急いで、コーヒーの注文を取って、自分でコーヒーを注いで持っていく、これは大変な作業です。注文を取ったら、コーヒーぐらい自動で作っておいてやりたいじゃないですか。そういう自動化・省力化は積極的に行うべきではないでしょうか。
牧山 そうですね。あとは、機械を使いこなすノウハウが必要になってきますね。機械に振り回されてしまっては、現場も混乱しますし、高いコストで導入した意味がなくなりますから。ベンダー側としても、大手チェーンは別として、中小のユーザーに対し、こう使えばもっと良くなるとか、運営まで踏み込んだ説明をする必要があります。ベンダーは、機械やソフトを提供するだけと見られますが、もっと違うお役立ちの方法もあるはず。 OFSC という枠組みで、機械のサプライヤーだけじゃなく保守サービスの会社などとも連携して、一緒にできる新しいことを探っている現状です。
酒美 省力化というのは、 IT を使い、何らかの仕組みを使って人手を減らすこと。外食でも現実的になってきていますが、それでは、自動販売機と同じと指摘される可能性もあります。
牧山 そういうところで、酒美さんがおっしゃったような素人の発想というのが必要になってくるのかもしれません。お客様にとって、常識では思い付かなかった魅力があるとか…。昨今のスーパーでは、セルフレジの導入が始まっています。人件費削減が目的ですが、現場に行ってみると、ピッピッとやる作業が楽しくて、お子さんが親を連れて来るのです。機械がそういう溶け込み方をすれば違和感はない。お客様が楽しんでいる姿を見れば、外食の IT に対する嫌悪感も減るはずです。
酒美 セルフレジに対するスーパー側の言い分としては、あれは省力化ではなく、混んでいるレジの行列に並ばずに自分でチェックアウトできて早く帰れるというサービス向上策なんだそうです。詭弁かもしれないですが…。
永田 言いたいことはわかりますね。スーパーに来ているお客様が、何を楽しみにしているかというと、“買い物をするプロセス”ですよね。あれやこれやと選んで楽しんだり、あっちの店で安く買っておいてよかったと満足感を得たり…。そうやって、自分のペースで買い物をして出ていきたいはずなのに、最後のお金を払うプロセスだけ店のルールに則って長い列に並ぶのは、絶対にイヤですよね。スーパーにおいてのセルフレジは、基本的なサービスと見ることもできるでしょうね。
牧山 外食に置き換えてみると、食事をすることやいろいろな人との交わりというプロセスの中で、いかに IT が溶け込むかということですね。そして、いかにお客様の役に立っているかを究めていくことになると思います。
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