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■第 4 回

蔓延する「疲れ」と立ち向かう Boston Market

シカゴ・ニューヨークで行った視察レポート。アメリカフードビジネスの潮流をさわりだけ。

時代を切り開いたBoston Market の現在


 イーチーズでおなかを満たした我々が次に訪れたのは、もともとHMR(ホーム・ミール・リプレイスメント)という言葉を世に広めたBoston Market(ボストンマーケット)である。

 またCTAで移動。あとから謎が解けたのだが、CTAもMETROも、プリペイドカード方式である。知らずに切符感覚で、「アメリカの自販機はおつりが出ない」という被害妄想に近い誤解があったが、この移動で気づいた。要するに磁気式のSuicaだな。


磁気カードだがチャージ可能。垂直に差し込んで引き抜くようにして使う。
 

 チャージするのだから釣りは無くて当然なのだが。「釣りを騙し取る」伝説のおかげで全員「ぴったりある?小銭ある?」とか切符売り場で右往左往していたのだがいま考えたらおかしい。
 
 だいたい2ドルが下限で、磁気カードにチャージするのだが、使わない分はちゃんと駅員さんに言えば戻ってくる。


 
 謎が解けたところで、2つほどシカゴ方面に戻って今度は「Sedgwick」という駅で、よりミシガン湖に近い。
 イーチーズのあたりがニュータウンでここらがオールドタウンと呼ばれているらしい。落ち着いた町並みです。

 こんどは駅をおりて2ブロックほど歩くとすぐに目的のお店が見つかった

 店舗の外観は郊外型の店舗をイメージさせるが、見たところ大規模な駐車場は無かった。商圏について不明瞭で、ちっともマーケットリサーチになっていないではないかと怒られそうだが、何卒ご容赦願いたい。


外観。どうでも良いが道を渡っているお姉さんがサマになっているな。



 アメリカの外食市場は、1990年代、ちょうどいまの日本の団塊世代より10年違いとみて良いだろうベビーブーマー市場を中心に、試行錯誤の次期であったに違いない。

 経緯は特集第2弾に書かれてあるが、そもそもこのボストンマーケットが消費者に受け入れられ、その成功を元に、前述のイーチーズが市場に登場するにいたったのである。

 私は当時のBoston Marketのリアルな姿を知らないが、90年代後半の食品スーパー業界の洗練と、前述のイーチーズの成功を生むきっかけとなった挑戦者の今の姿を点検してみるというのが主な目的である。

 イーチーズが外食からの提案だったことに対し、こちらはもともとただの鶏肉屋さん。スーパーの片隅で鳥の丸焼き(ロティサリーチキンという呼び名で、アメリカの人はこれが大好きらしい)を焼いて売っていたらしいが、店構えを新たに、お客様の目の前で調理をして出すことを思いつき、オーブンで焼き上げたロティサリーチキンをお好みの大きさに切り分けて出したという勃興から衰退まで、外食の新業態を追い続ける人には良く知られている話である。



 店に入ると、まず目に付くのは3台のローティサリーオーブンと呼ばれる大型調理器。


カウンターの奥にロティサリーオーブン。ショーケースの中は温野菜が並ぶ。

 カウンターの奥に置かれていて、おそらく忙しいときは3台とも鶏をくるくる回転させているのだろうが、このときは2台が稼動しているのみであった。
 
 カウンターの下にはショーケースがあり、サラダバーのような形式で、マッシュポテトをはじめとする温野菜がおいしそうに並べられている。
 
 メニューはメインのロティサリーチキンが1羽まるごとからハーフ、4分の1カットと、好みに応じて注文できる。ミールセットは温野菜と鶏、ドリンクなどのセットメニューである。

 店内は人が平日の午後ということもあり、閑散としていたが、まずまずの清潔感。ナプキンやフォーク、ストローを置いた棚が設置してあるが、ここは雑然と散らかっていた。

 さて、いつもどおり味に関するコメントが少ないが、試食。

 イーチーズのブリトーがまだ腹に残っているし、ここでは1羽の4分の1カットを一個頼むことにする。
 これを4人で取り分けるつもりだ。

 店員にそのように伝えてみるが、なんか伝わらない。


1.店員 「4分の1カットでは腹いっぱいにならんぞ君たち。」
 ↓
2.私たち 「いや、いいんですよ」
 ↓
3.店員 「だったらミールセットにしなよ。4分の1カットと温野菜が1品とドリンクが付くよ」
 ↓
4.私たち 「ああ、まあね・・・。」
 ↓
5.店員 「ようし、じゃあ4分の1カットのミールセットを4人前な
 ↓
6.私たち 「ええっいやいやそうじゃなくて1人前でいいんだって・・。」
 ↓
7.店員 「なに?一羽まるごとか!?」
 ↓
8.私たち 「いや、だから4分の1で・・・」

(1.に戻る↑)

 というやりとりがお互いわけがわからないまま延々続いて、もう疲れて結局押し切られ、ミールセットを4人前頼むことに・・。


上のやり取りでは怖そうだが、こんなにキュートな人である。

 さらに付けあわせを頼む時点で、私の番でなぜかスイートポテト(マシュマロ付き)が自動的に発注されていた。
 
 ・・・もう腹をくくるしかない。

 結局鶏は一羽分、(4分の1カット×4人分)付けあわせが4種。人気のマッシュポテトと温野菜のカクテル、ほうれん草と・・・・スイートポテト。


とても試食とは思えない量。Eatzisでも気になったが、食べ終わった後はゴミが大量に出る。


 チキンは骨からぱらりとはがれ、食しやすい。おもわず全部食べてしまった。どういう味付けかにんにくの香りが魅力的で、これはうまい。写真手前に見えるのはカレーソースで、これをつける。癖になる味というやつ。

 付け合せの温野菜が人気なのは知っているが、さすがに完食できず。(特にマシュマロ入りのスイートポテトはだれも食べられませんでした。)

 このあとの視察行程のことを考えて憂鬱になりながら、元祖HMRを後にした。


さよならー。無理やりつれてこられたお姉さんちょっと嫌がってます。



 正直な感想としては、やはり出始めのボストンマーケットに出会いたかった。強烈な印象をもつ小中規模チェーンが、いつしか展開力と規模を手に入れたときに、引き換えにその魅力を徐々に薄れさせていく光景をしばしば目にしているが、その典型であるように思えてならなかった。
(往時のボストンマーケットがどのようなものか私は知らないので想像するしかないが。)

 外食チェーンは、この「疲れ」ともいえる状況を常に意識しなければならないということを強く感じた。

 もちろん90年代前半のアメリカ外食産業のあがきのなか、産業を奮い立たせ、新たなフォーマットを確立させた功績は大きい。98年会社更生法の適応以降、マクドナルド傘下で順調に業績を伸ばしつつあるが、次世代のターゲットを見据えた新たな戦略にも期待したい。


 次回はようやく、ファストカジュアルとして位置づけられる店を少しレポートできるかと。

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福本 龍太郎
国内コンピュータ販社にて流通小売業界向けSI事業部門を担当し、外食店舗店舗システムにも関わる。
現在は有限会社ノーデックス取締役。
ネットビジネス黎明期より各種サービスプロバイダを経験し、業務システムへのネット技術の応用・普及につとめる。

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